御堂造り仏壇 内寸三尺六寸三方開き仏壇

御堂造り仏壇 内寸三尺六寸三方開き仏壇






伝統的工芸品産業振興協会賞受賞 彦根仏壇

2年の歳月をかけた逸品が完成しました。
現在まで脈々と受け継がれた彦根仏壇の伝統的技術が結集した仏壇と言えます。伝統的な意匠を継承しつつ、アクセントとして家紋や縁起の良い意匠を随所に取り入れて遊び心に溢れるデザインとなっています。
今、彦根仏壇が造れる最高品の1本と胸を張って申し上げることができる仏壇です。

この仏壇のアクセントとなる三段錺(かざり)金具は上から下へ雲、雪、流水と水の三態が移り変わる時の流れを表しています。松竹梅鶴亀と雪月花を加えて蓬莱山の美しい情景を表しています。蒔絵は夫婦愛の象徴である鴛鴦(おしどり)のいる水辺と、桜と紅葉の雲錦文様としました。
漆は最高級の蝋色仕上げに、木地、彫刻、宮殿、金箔、蒔絵、錺金具と現在の彦根仏壇が造れる最高級の品質で一切の妥協なく制作しています。

この金仏壇は伝統的工芸品 彦根仏壇として、第24回 全国伝統的工芸品仏壇仏具展に出品し「伝統的工芸品産業振興協会賞」受賞しました。

お客様のご希望のサイズや仕様(形・図柄等)をお聞きしながら、製造を進めて参ります。このお仏壇の詳細ブログへ
https://www.inouebutudan.com/2020/08/21/3...

Title御堂造り仏壇 内寸三尺六寸三方開き仏壇
Date2020.03
題目伝統的工芸品 彦根仏壇
技法木地木工、組子、宮殿、彫刻、漆塗り、磨き蒔絵、螺鈿細工、切金細工、箔押し、金粉蒔き、錺金具、本消し金めっき・漆焼き付け
素材木曽桧、ケヤキ、ヒバ、紅松、天然漆(日本産100%も含む)、青貝、金丸粉、切金、金箔、金粉、銀板、銅板、真鍮板
サイズW1300 H1775 D880mm
発注者岐阜県Y様
デザイナー乾 陽亮
制作者井上仏壇
井上仏壇のサイトへ

統合した伝統工芸の素材と技法

彦根の金仏壇は、
①木地(きじ)
②宮殿(くうでん)
③彫刻
④漆塗り(うるしぬり)
⑤金箔押し
⑥蒔絵(まきえ)
⑦錺金具(かざりかなぐ)
という大きく7つの工程を、各工程の熟練した職人たちが仕上げて造り上げていきます。その後、組み立てを経て設置・納品することになります。

木地は、総木曽桧造りで、戸板等には滋賀県産ケヤキを使用しました。お客様のこだわりでケヤキは総赤玉杢の材料を使いました。
木地とは、仏壇の土台となる、塗る前の状態のものです。
彦根仏壇の特徴の一つである釘を使わないホゾ組みとなっているので、組立・分解が平易で、数度の修理を繰り返して150年以上保つように造りました。
宮殿は、こちらも総木曽桧製で造られています。
彫刻は、細工のしやすい紅松を使用し、お客様のご希望で前狭間彫りは「親鸞一代記」の図柄で彫っています。
漆塗りは、木目出し塗り、乾漆塗り、詰め梨地塗り、蝋色塗り仕上げなど持てる伝統技術を駆使して、10ヶ月の歳月を掛けて塗り上げました。
木目出し塗りは、赤みのある透き漆の奥に木目が見える高級感あふれる技法です。
蝋色仕上げは、塗った漆を平坦に研ぎ、生漆を何度も摺リ込んで鏡面に仕上げ、磨くことで艶を出す、漆塗り最高級の技法とされています。
乾漆塗りは、中塗りの時に漆を粉末状にした乾漆粉を蒔き、その上から上塗りする技法で、表面は石目仕上げとなります。鏡面でないので、キズが付いてもわかりにくい仕上がりとなります。また、研ぎ具合や色乾漆粉などの使用で、いろいろな表情を作り出すことができます。
詰め梨子地塗りは、上塗りの手前に梨地粉を表面を覆い尽くすように蒔き、その上から透き漆を塗る技法です。透き漆越しに梨地を見ることで深みのある輝きを実現しています。
蒔絵は、研ぎ出し磨き蒔絵で本金粉・切金・螺鈿を贅沢に使用し、春の桜と秋の紅葉をオリジナルで図案化しています。
蒔絵とは、漆で仕上げた面の上に、漆で絵や線を描き金・銀などの金属粉を蒔く技法であり、雅で華やかな雰囲気を醸し出します。
螺鈿とは、主に青貝から削り出した真珠層の板を切り出し、漆で貼り付けて加飾する技法です。
金箔押しは、最高の純度である5毛色本金箔を漆で押して(貼けて)います。金本来の赤みのある黄金色に輝いています。
錺金具は、銀板・銅板・真鍮板を使い、すべて手彫りした金具で、表面に本消しメッキと施しています。上述の三段錺金具は、デザインから起こした一番のポイントです。また、大柱は、銀板と銅板で仕上げた立体感のある地彫り金具で、もうこれほどまでの地彫り金具を造る職人がいないため、以前に造られたものを使用しています。
地彫り金具とは、立体的な金具を造る時に使用し、大変手間のかかる技法です。地金の表面のへりを残してすべて鋤き、表面をへこませます。その後裏から叩いて表面を膨らませ、表から柄を打って仕上げます。
最後に表面に本消し金めっき又は漆焼き付け加工を施しています。

  1. 木工

    木地は、製品の土台・フレームなどを作る最初の工程です。
    INOUEの木工の基本は、城下町彦根で江戸時代から続く伝統の金仏壇製造で培われた工芸品質です。
    彦根仏壇の木地は、日本建築と同じく釘を使わないホゾ組みを得意としています。材料を吟味し部材の切り出しから継手や面取りに至るまで、妥協のない品質で職人がひとつひとつ手作りする木地は、何世代にも受け継がれる仏壇を支えています。
    INOUEの製造ネットワークは量産が得意な他産地の木工所との繋がりもありますので、プロジェクトに適した木工で対応いたします。

  2. 宮殿

    仏壇の内部に据える屋根部分の細かな木工造作物を宮殿(くうでん)と呼びます。仏像などを安置するため、浄土にある楼閣や神社仏閣建築を模して作ります。宗派によって形もさまざまで、唐破風などの屋根や瓦、升組などの部材を正確に組みあげる高度な技術が必要です。彦根では専門の職人、宮殿師が手掛けます。
    宮殿は最終的に彫刻や金物、塗りなどあらゆる技術を用いて仕上げます。細部にこそ魂が宿る-宮殿には日本美の真髄があると考えています。
    INOUEでは、升組みを他の商品に転用するなど、宮殿にのみ伝わる木工細工の技法なども提案もしています。アイデア次第で建物のミニチュアや木製ブロックなど、様々な可能性が広がりる分野です。

  3. 漆塗り

    漆は非常に高品質で美しい塗装です。ウルシノキの樹液を採取し、ゴミや埃を濾した精製漆が塗装に用いられます。その成分に含まれるウルシオールが空気中の水分と結合し硬化する世界最強の保護塗料のひとつです。
    しかし漆は扱いが難しく、伝統技法で平滑に仕上げるには下地工程から高度な職人技が求められます。下地から上塗りまで何回も塗って研ぐ工程を繰り返して、塗り重ねます。中でも蝋色(ろいろ)仕上げは、漆の塗装面を平坦に研ぎ、生漆を摺リ込みながら何度も磨きあげ、鏡面で奥深い艶を出す漆塗り最高級の技法とされています。
    漆とひとくちに言っても下地の処理から仕上げの方法までさまざまな技法が発展しています。INOUEは仏壇製造で培った漆工への深い知見から、変わり塗り・色漆から最高級の蝋色まで、適した漆塗りの技法とその職人を提案しています。

  4. 蒔絵

    漆で絵や文様を描き、金粉などを蒔きつける漆芸技法を蒔絵(まきえ)と呼びます。広義では螺鈿や切金などを含んだ加飾を概ね蒔絵と呼ぶこともあり、金粉のみで表現したものを特に金蒔絵と呼んで区別することもあります。 蒔絵は日本で生まれ、独自に発展した日本のみに存在する伝統漆工芸技法です。平蒔絵や高蒔絵、さらに平蒔絵を一旦漆で埋め直し砥石や研炭などで蒔絵後の塗面を研ぎ出す研出蒔絵(とぎだしまきえ)など様々な技法が生まれました。さらに蒔き終えた金粉や銀粉の上に透き漆や色漆で塗り固め、研ぎ出して表現したり、金粉や銀粉等の号数による細かさなどの種類によって奥行きを表現したり、多彩な加工手法を駆使する事により表現の幅が時代と共に発展してきました。 また、安価な加工手法として、金粉を蒔いたままの「消し蒔絵」やシルクスクリーン印刷を応用した「スクリーン蒔絵」もあります。 INOUEでは様々な技法を持つ蒔絵職人のネットワークがあり、ご要望に適した技法を手配しております。

  5. 切金細工

    切金細工は、厚さ0.03ミリ(金箔の厚さの300倍)の切金を小刀・ポンチなどでカットし、蒔絵のアクセントとして漆で貼り付ける加飾技法です。金箔の300倍の厚みがある切金は、立体感があり蒔絵をさらにゴージャスに引き立ててくれます。
    同音異義語として、截金細工があります。これは、金箔を4~5枚焼き合わせた金箔を、仏像などに載せて文様を描く装飾技法です。焼き合わせた金箔を竹刀(ちくとう)・小刀・ポンチなどでカットし、腐糊(ふのり)と膠(にかわ)を混ぜた糊で対象物に筆を使って貼っていきます。七宝文様や麻の葉文様、毘沙門亀甲文様、網代文様などの細かな文様を描き出します。詰め過ぎず空き過ぎずの線と空間のバランスが、美しさを高めます。仏像の曲面を描くことで進化してきた截金は、曲面以外の平面にも加飾することが可能です。金箔の4~5倍の厚みがある截金は、立体感を引き立ててくれます。

  6. 螺鈿(らでん)細工

    主に青貝から削り出した真珠層の板を切り出し、漆で貼り付けて加飾する技法を螺鈿細工と呼びます。蒔絵と同時に施すことが多く、貼り付けた青貝の板の上からさらに金蒔絵を施したり、毛彫したりして、華やかに演出します。蒔絵のポイントとして使うことが多い技法です。
    青貝の代わりに、変わったところではウズラやニワトリの卵の殻を使った卵殻細工などもありますが、ほぼ同じ技法です。最近では青貝の代わりに人工の京都オパールを使う技法も確立されています。

    螺鈿は蒔絵師が習得している技法のひとつです。仏壇蒔絵でもよく使う技法でもあり、INOUEでも様々な表現や技法に合わせて、職人と相談しながら効果的に螺鈿を取り入れて加飾します。

  7. 箔押し(箔貼り・箔置き)

    箔押しとは、金箔や銀箔、白金箔で物品を覆う装飾技法です。彦根では箔押しと言いますが、他の地域では箔貼り・箔置きとも呼ぶそうです。
    金箔は、金の延びる性質を利用して厚さ約0.0001ミリメートル(1ミクロン)まで均一に延ばしたもので、ここまで薄く均一に延ばせる技術は日本だけにしかありません。鼻息で飛んでいく薄さです。
    ひとくちに金箔といっても、純度が高いものから銀を合金して色味を調整したものまで、さまざまな種類があります。また、箔の押し方にも箔の光沢を出す技法や上品に優しい光沢を出す技法などがあります。

    INOUEでは、高い技術が必要な広い大きな板の箔押しから、彫刻などの曲面全面の箔押しまで、熟練した職人による幅の広い箔押し技法に対応しています。また、今までは難しいとされてき現代素材であるアクリル樹脂やガラスへの箔押しにもお応えしています。

  8. 錺金具

    工芸に使われる金物のうち、装飾性に富む金工品を錺金具(かざりかなぐ)と呼びます。使われる場所や目的に合わせて、銅や真鍮などの金属を使い、立体的な形に彫る地彫(ぢぼり)や、細かな線を彫り込む毛彫(けぼり)、地金に穴を開けて奥行き感を出す透し彫りなど様々な技法があります。
    最近では、コストを抑えるためにプレス・電気鋳造(電鋳)・エッチング金具などの金具も多く使用されています。
    データをいただければ、家紋や社章などを彫ることも可能です。
    錺金具の仕上げも、金めっきで金を施す方法から漆を挿したり、くすべ・ふすべ、黒く光るニッケルめっきなど、様々な技法があり、これらを組み合わせて加飾します。木工品との相性も良く、様々な工芸品でポイントを演出します。
    INOUEでは、最適な技法・装飾方法を選択してご提案いたします。

  9. 彫刻

    木や石などに彫刻刀などを使って彫り、立体的な形を生み出す技法です。日本が木の文化であるため、伝統工芸では主に木工彫刻が発展しいます。素材はケヤキ、桧、杉、松、柘植、白檀などなど用途や目的によってさまざまな素材が使われます。

    INOUEでは、花鳥などの動植物の仏壇欄間から仏像など、それぞれ専門の木工彫刻師が得意とする形があり、多様なご要望にお応えします。図柄は吉祥柄(きっしょうがら=縁起の良い)などの伝統図柄をベースにしたオリジナル図柄も、ご希望の応じてご提案いたします。

  10. 木目出し塗り

    透き漆(すきうるし)という半透明の漆を使い、ケヤキ等の杢目を残して塗り上げる技法です。彦根仏壇の特徴とも呼べる高度な漆塗りです。
    木目を出すために従来の下地をせず、目摺りという生漆を木目に吸い込ませる作業を行って吸い込みを止め、木目を赤色に着色します。そして透き漆を均一に塗って乾燥させてから研ぐという工程を数回繰り返します。最後に蝋色仕上げで艶出し鏡面にして仕上げます。美しいケヤキの杢目が、透き漆を通して上品に現れる、奥行きのある漆表現です。
    蝋色仕上げは、塗った漆を平坦に研ぎ、生漆を何度も摺リ込んで鏡面に仕上げ、磨くことで艶を出す、漆塗り最高級の技法です。

  11. 摺り漆(すりうるし)・拭き漆

    摺り漆・拭き漆とは、直接木肌に生漆(きうるし)を何度も刷り込み、艶を出して仕上げる技法です。生漆を刷り込むことで、吸い込みを止めて漆独特のこげ茶色の輝きとなります。顔料で着色した生漆を用いれば、さまざまな色の仕上がりにもなります。お椀やお盆などでよく見かけますが、安価品はウレタンで代用されます。
    生漆とは、漆の木から採取した漆の樹液から、ゴミや埃を取り除いた漆100%のピュアな漆です。

    INOUEでは、生漆からウレタンまで、ニーズに合わせて対応しています。また、サイズもコーヒーカップなどの小さなものから建材に使用する大きなものまで幅広く塗装可能です。摺り漆の上から金箔などの装飾を施すこともできますので、摺り漆で面白い表情を作ることも可能です。

  12. 組子

    組子は、釘を用いずに木を組み上げる木工技術で、その精緻さと美しさは圧巻です。元来、建具や衝立(ついたて)などに用いられてきました。最近では、和モダンな空間を演出するものとしてホテル・店舗などで利用され、斬新なパターンのものも多く出てきています。
    INOUEでは、グッドデザイン賞を受賞した若手職人などとつながりを持ち、絶えずお客様のニーズにお応えできる体制を整えています。統合工芸として、組子を塗装したり、金箔を押したりすることも可能です。

  13. 金めっき(鍍金)

    めっきは、金属や非金属(プラスチック等)の表面に他の金属を被覆(ひふく)する表面処理の一種です。
    仏壇・仏具では、主に真鍮材や銅材の表面に金や銀等でめっきします。分子レベルで密着させるので、金箔押しより表面は強く、金属にはめっきの方が優れています。
    なお、めっきに限らず、金属の表面加工には多種多様な技法が発展しています。INOUEでは、ご希望に添った加工方法をご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。