Humidor(ヒュミドール)葉巻入れ

Humidor(ヒュミドール)葉巻入れ






精緻な木工技術、高機能高品質の葉巻箱

Humidor(ヒュミドール)は葉巻の保存箱のことです。加湿器で内部の湿度を一定に保って葉巻の乾燥を防ぎ、香りも損なわない機能性が求められます。
日本の伝統工芸の木工技術では、確実に外気を遮断し、密封する精度が生み出せます。素材は空気と熱の遮断と調湿性能に優れた桐材を使っています。桐箪笥や桐箱など、大切なものを保護する場合では必ず分厚い桐の中に入れることが日本の伝統的な習慣であり、伝統に裏付けされた機能です。開ける方法の違いにより、硯箱タイプと宝箱(通常)タイプの2種類を作りました。
ヒュミドールの内装材は西洋の伝統的にはスペイン杉を使いますが、国内で入手困難な木材であったため、同等に評価の良いマホガニー材を使用して機能性を確保しました。保湿器を装着できるように、蓋裏には磁石が付着するステンレス板を内部に仕込んでいます。
桐材は柔らかいため、外装は硬い塗装で固め、その上から金箔や焼箔を押して演出しています。

TitleHumidor(ヒュミドール)葉巻入れ
Date2020.07
技法木工/塗装/箔押し
素材桐/マホガニー/SUS430/金めっき金具/カシュー/金箔・色箔/ウレタン/磁石付き加湿器
サイズW280 D240 H115 mm
デザイナー乾 陽亮
撮影大野 博

統合した伝統工芸の素材と技法

木地は、本体を空気と熱の遮断と調湿性能に優れた桐材で作り、内部は葉巻入れによく使用されるマホガニーで覆いました。
塗装は、現代の手法であるカシュー塗料ガン吹き塗装でしっかりした硬い塗面を作り、箔を押す(貼る)下地にしています。
箔押しの工程では、金箔・色箔とも、箱のサイズから割り出して均等割りでカットした箔を押すことで、均一できれいな表情としました。さらに金箔仕上げでは、純度の違う金箔を互い違いに押して、微妙な色違いで市松模様を表現しています。
箔押し後、剥げ防止のためのコーティングして、十分に使用に耐える強度にしています。

  1. 木工

    木地は、製品の土台・フレームなどを作る最初の工程です。
    INOUEの木工の基本は、城下町彦根で江戸時代から続く伝統の金仏壇製造で培われた工芸品質です。
    彦根仏壇の木地は、日本建築と同じく釘を使わないホゾ組みを得意としています。材料を吟味し部材の切り出しから継手や面取りに至るまで、妥協のない品質で職人がひとつひとつ手作りする木地は、何世代にも受け継がれる仏壇を支えています。
    INOUEの製造ネットワークは量産が得意な他産地の木工所との繋がりもありますので、プロジェクトに適した木工で対応いたします。

  2. 箔押し(箔貼り・箔置き)

    箔押しとは、金箔や銀箔、白金箔で物品を覆う装飾技法です。彦根では箔押しと言いますが、他の地域では箔貼り・箔置きとも呼ぶそうです。
    金箔は、金の延びる性質を利用して厚さ約0.0001ミリメートル(1ミクロン)まで均一に延ばしたもので、ここまで薄く均一に延ばせる技術は日本だけにしかありません。鼻息で飛んでいく薄さです。
    ひとくちに金箔といっても、純度が高いものから銀を合金して色味を調整したものまで、さまざまな種類があります。また、箔の押し方にも箔の光沢を出す技法や上品に優しい光沢を出す技法などがあります。

    INOUEでは、高い技術が必要な広い大きな板の箔押しから、彫刻などの曲面全面の箔押しまで、熟練した職人による幅の広い箔押し技法に対応しています。また、今までは難しいとされてき現代素材であるアクリル樹脂やガラスへの箔押しにもお応えしています。

  3. 塗装(カシュー・ウレタンなど)

    INOUEでは、伝統工芸の高度な天然漆本堅地をはじめ、同じ漆科のカシュー(和名:勾玉の木)から採れる天然樹脂のカシュー塗料や、合成樹脂のウレタン塗料まで、あらゆる種類の塗装方法を可能としています。
    サイズもコーヒーカップなどの小さなものから建材に使用する大きなものまで幅広く塗装可能です。
    仏壇工芸の要とも言える塗装の品質は、常に厳しい目をもって吟味しています。
    INOUEは、技術力を持った職人のネットワークを有し、あらゆる塗装のご要望にお応えします。