ウォッチワインダー KISSHO

ウォッチワインダー KISSHO




こだわりに添える工芸の美

信頼あるワインダー(機械式時計のゼンマイを自動的に巻き上げるケース)で名高い“SwissKubik”本体に、漆塗りと蒔絵を施した製品。腕時計を趣味とする方に対し相応しい品質で、その趣味を支える商品として、“SwissKubik”の輸入代理店と共同で開発しました。
アルミニウム製本体の無機質なワインダーをぬくもりのある上質なものに変えることができました。
そして、本体のアルミニウムに直接漆を塗ることで、コストや経年変化を抑えるメリットが生まれました。
漆の艶やかな表情と金蒔絵の精緻さ、文様の縁起を添えて、時計へのこだわりをより楽しんでいただければ嬉しく思います。機械式時計のゼンマイを自動的に巻き上げるケースです。回転方向と1日あたりの回転数をPCから簡単に設定できます。内部機構は一貫したスイス産で、ノイズが殆ど出ません。固定クリップは全ての腕時計に対応しています。単2アルカリ電池2本使用で長期使用できます。メーカー国際保証3年間付き。

Titleウォッチワインダー KISSHO
Date2017.08
題目Watch Winder Case/時計ケース
技法蝋色仕上げ、金蒔絵
素材アルミ躯体、漆、金粉
サイズW100 H100 D100mm / 770g
発注者マスダ インフィニティ ジャパン(株)
デザイナー乾 陽亮
撮影大野 博
Watchi Winder KISSHOのサイトを見る

統合した伝統工芸の素材と技法

塗りは、アルミニウムとの密着をよくするため、下塗りは漆焼き付けで行っています。その後、上塗りをして蝋色仕上げとなっています。
蝋色仕上げは、塗った漆を平坦に研ぎ、生漆を何度も摺リ込んで鏡面に仕上げ、磨くことで艶を出す、漆塗り最高級の技法とされています。
蒔絵は磨き蒔絵で、絵柄は日本の伝統的文様の吉祥柄(縁起の良い柄)を一個に2種類ずつ選んで描き、「渦千鳥」「花七宝」「波鱗」の3種類をご用意しました。
蒔絵とは、漆で仕上げた面の上に、漆で絵や線を描き金・銀などの金属粉を蒔く技法であり、雅で華やかな雰囲気を醸し出します。

  1. 漆塗り

    漆は非常に高品質で美しい塗装です。ウルシノキの樹液を採取し、ゴミや埃を濾した精製漆が塗装に用いられます。その成分に含まれるウルシオールが空気中の水分と結合し硬化する世界最強の保護塗料のひとつです。
    しかし漆は扱いが難しく、伝統技法で平滑に仕上げるには下地工程から高度な職人技が求められます。下地から上塗りまで何回も塗って研ぐ工程を繰り返して、塗り重ねます。中でも蝋色(ろいろ)仕上げは、漆の塗装面を平坦に研ぎ、生漆を摺リ込みながら何度も磨きあげ、鏡面で奥深い艶を出す漆塗り最高級の技法とされています。
    漆とひとくちに言っても下地の処理から仕上げの方法までさまざまな技法が発展しています。INOUEは仏壇製造で培った漆工への深い知見から、変わり塗り・色漆から最高級の蝋色まで、適した漆塗りの技法とその職人を提案しています。

  2. 蒔絵

    漆で絵や文様を描き、金粉などを蒔きつける漆芸技法を蒔絵(まきえ)と呼びます。広義では螺鈿や切金などを含んだ加飾を概ね蒔絵と呼ぶこともあり、金粉のみで表現したものを特に金蒔絵と呼んで区別することもあります。 蒔絵は日本で生まれ、独自に発展した日本のみに存在する伝統漆工芸技法です。平蒔絵や高蒔絵、さらに平蒔絵を一旦漆で埋め直し砥石や研炭などで蒔絵後の塗面を研ぎ出す研出蒔絵(とぎだしまきえ)など様々な技法が生まれました。さらに蒔き終えた金粉や銀粉の上に透き漆や色漆で塗り固め、研ぎ出して表現したり、金粉や銀粉等の号数による細かさなどの種類によって奥行きを表現したり、多彩な加工手法を駆使する事により表現の幅が時代と共に発展してきました。 また、安価な加工手法として、金粉を蒔いたままの「消し蒔絵」やシルクスクリーン印刷を応用した「スクリーン蒔絵」もあります。 INOUEでは様々な技法を持つ蒔絵職人のネットワークがあり、ご要望に適した技法を手配しております。